いい妻、リセット宣言 -定年夫のストレスから解放される、魔法の法則教えます- 共同通信社刊
 
 ダンナさまは定年の翌日から、ガラッと生活環境が変わります。突然始まる「毎日が日曜日」。妻であるあなたも、「毎日、夫が一日中家にいる」という生活を迎えることになります。これまで伸び伸びと過ごしてきた、一人の自由な時間がなくなってしまうことが、なんだか心配……でも、実はそれだけではないのです。

 ちょっとこちらのデータをご覧ください。
「老後に夫と暮らすと、妻の死亡リスクが約2倍に高まる」というショッキングなデータが、朝日新聞(2007年1月29日)に掲載されました。
 記事によると、愛媛県松山市に隣接する市で、60〜84歳の男女に糖尿病や血圧などをチェックし、5年後に対象者の生存を調査したもの。

 すると……。
「夫がいない」女性に比べ、
「夫がいる」女性の死亡リスクは2.02倍。
一方、「妻がいない」男性に比べ、
「妻がいる」男性の死亡リスクは0.46倍。

 つまり、「妻は、夫と暮らすと早死に」し、「夫は、妻と暮らすと長生き」する、というわけです。
 家事や介護といった日常の労働をすべて妻まかせにすることで、妻は負担が高じて早死に、夫はあぐらをかいて長生きという構造が浮き彫りになりました。
 世界的にも日本男性の家事時間は際立って低いですし(主要先進国のなんと1/5〜1/7!)、反面、日本女性の家事時間は世界でもトップクラスです(主要先進国の1.5倍!)。こんなことでは死亡リスクが高まって当然かもしれませんね。

 かといって、財産分与の問題の問題もあり、離婚はカンタンにはまいりません。
 ましてや離婚するほどではないし……という方の方がきっと大半のことでしょう。けれども、いざ定年後の夫と家で二人で向かい合うと、気詰まりになったり息苦しくなってしまうことも。
 また、前述のデータのように、以前は帰宅後と休日だけだったダンナさまの世話が、毎日しかも一日中、家事や日常のあれこれを命令され……心身ともに疲れきってしまうかもしれません。年をとって身体がキツくなってくるのに、仕事量が逆に増えてしまう状態。女性の過労死とも言うべきかもしれません。

 では、どうすれば良いでしょう?
 ズバリ、だんなさまに自立してもらうことではないでしょうか。
 身の回りのカンタンな家事を自分でしてもらうことや、あなたの自由を認めてもらうこと、少なくとも靴下を床に脱ぎちらかさないだけでも、ストレスはグッと減りませんか?

 そんなこと言っても、いまさらムリ! うちの夫はダメ! とおっしゃるかもしれません。けれども、絶対にムリなお話でしょうか。
 ああ、こんな手もあったのか、これならできそうという方法もあるかもしれません。
 この本では、今すぐ使える具体的なワザをたくさんご紹介いたしました。
 だめで元々。今より悪くなることはありません(笑)。どうぞチャレンジしてみてくださいませ。

 あなたは現在、ダンナさまと寝室が一緒ですか? 別でしょうか? 
 アンケートによると、「夫婦同室」が64%、「夫婦別室」が36%となっています(「団塊世代夫婦の行方」に関する調査研究/財団法人ハイライフ研究所)。
 どうやら定年後は、夫婦別室が増えてくる様子。

 昼間、これだけつき合っているのだから、寝ている時くらいは一人でのびのびと……という妻たちの本音でしょうか。もちろん、夫のいびきが大きくて、とても一緒だと安眠できないというご夫婦もいらっしゃることでしょう。

 これまで一緒だった寝室を別にするのは、「相手を異性として見ていないようで切り出しにくい」と、みなさん気にされる様子。ところが、定年を機に夫の方から切り出されると、妻は傷つくわけです。こっちは気をつかって言わないでいたのにぃぃぃ〜と(笑)。まぁ、レディファーストってことで、定年が近づいたらこっちから切り出してしまいましょうよ。
 特に、毎日が夏休みになった夫たちは、夜更かしして、本を読んだり深夜番組を見たり。ページをめくる音やテレビの小さなボリュームでも、夜は気になって安眠できません。そんな時には,ちょうどいい理由ができたじゃありませんか。
「夜、あなたが起きていると、落ち着いて眠れないの。私は○○(部屋名)で眠るわ」と。案外サラッとOKが出る場合が多いようですよ。

 20年前後もの長〜い定年後。「夫婦が楽しく暮らすために相手に何を望みますか?」という質問に、妻が夫に望むことの上位は?
「家事を手伝う49%」「一緒に旅行や買い物に行く39%」「妻べったりにならないで自立する37%」という結果が出ました(笑) (50代主婦520人にききました/『週間朝日』)。実に約半数の方が夫に家事の手伝いを望み、約4割の方が、夫に自立してほしいと願っています。
 現に50代男性アンケートでは、「現在の家事時間」は「15分以下」が33%、「30分程度」が29%、「全くやらない」が18%というお寒い結果が出ました(株式会社ノーリツ、団塊の世代男性の家事について調査)。
 ところが、50代男性に「あなたが家事に費やしたい時間はどれくらいですか」と理想を聞いたところ、なんと「1〜2時間前後」が42%、「30分前後」が34%という結果に。つまり、「現在の家事時間」より「家事に費やしたい時間」の方が多いんです。
 ということは、心の中では「妻にばかり負担させて悪いな」という気持ちを少なからず持っていて、それでいて、「何をしていいかわからない」「妻の領域を侵すようで手を出せない」と感じているようなのです。
 ところが一方、妻の側では「料理をする台所は自分の領域」「買い物は自由な時間なので、分担したくない」と思っているとか。

 ということは、夫は「ほとんどやらない現状」ながら、「もう少し家事をしなくては」という意識があり、妻は「手伝ってほしい」と思う反面、「あまり男性に入り込まれたくない」とも考えています。
 夫も妻も、お互いにギヤップがあるんですね。必ずしも相手のせいばかりではなく、自分の心の葛藤やギャップに気づくことから、行動が変わっていくことでしょう。

 男性にとっては"寝耳に水"の熟年離婚。女性にとってはガマンの末の決断。なぜこんなにスレ違ってしまうのでしょう?
 実は熟年離婚をする夫婦には、共通点があるのだそうです。それは、「夫婦ゲンカをしない夫婦」が多いということ。言い換えれば、ケンカもできないほど接点がなかったのか、会話すらないのか、お互い避けているのか。どちらにしても希薄なコミュニケーションが伝わってきます。
 離婚の原因には、「夫が家庭を顧みない」「性格の不一致」「夫が妻を女性として扱わない」「夫に趣味がない」「夫が妻に頼り過ぎ」という結果が出ています。
 離婚件数を見ると、02年の29万組がピーク。この数字は、30年前(11万組)の約3倍、40年前(7万組)の4倍と、増え続けてきました。
 特に熟年層の離婚は、75年の6800組から02年の4万5000組まで、30年弱の間になんと6.6倍もの急増ぶり。
 この数年は07年4月の年金分割制度を前に減少していましたが、いざスタートした4月の年金分割相談件数は1万2000件に急増、実際の離婚件数は前年同月比6%増に上りました。しかも08年4月の「離婚時の第3号被保険者期間についての厚生年金の分割制度」がスタートすれば、熟年離婚は爆発的に激増しそうです。(くわしい分割制度については、●ページ)
 これまで経済的な問題から離婚をガマンしている女性がたくさんいました。けれども、24時間365日家事・育児・介護に追われ、死ぬまで夫の世話……。これでは離婚したくなってもおかしくはありません。
 いよいよ妻の反乱が始まったようです。
 意外かもしれませんが、定年後の夫婦へのアンケートで「家事を行うことに抵抗感がない」と、6割もの夫が答えています。「家事は妻が行うものだ」のコチコチ石頭は4割で、もはや少数派です(「退職後の夫婦の意識調査」定年退職後の熟年夫婦50組100名対象/日本石鹸洗剤工業会)。
 とはいえ、夫の家事時間は「1日60分未満」が52%とまだまだ発展途上ですが、30%は「60〜120分」と上昇の兆しを見せています。しかも「家事が好き」な夫が1割も!(同調査)
 別のアンケートでも、定年前の58〜60歳の男性に聞いた「定年を迎えて考えていること」では、趣味や仕事、社会貢献に混じって、なんと「料理をしたい」33%、「自分も家事(料理以外)をしたい」28%もの高結果を得ているのです(複数回答、HOPEレポート/博報堂エルダービジネス推進室)。
「料理」と「料理以外の家事」を合計すると、61%ですよ、61%!!!
 う〜ん、案外ダンナさまの胸中は、やる気満々だったりして(笑)。

 あとはあなたが、ダンナさまの意欲をうま〜くノセていくだけ。だって向こうがその気になっているんですから、行け行けどんどんでしょう!
 実際に、退職前後の変化では、妻が採点する夫の家事点数は、平均30点から→52点へと急増中(「退職後の夫婦の意識調査」定年退職後の熟年夫婦50組100名対象/日本石鹸洗剤工業会)。
 どうやらどこのご家庭でも、定年夫のビフォーアフターが進んでいるようですよ。あなたのご家庭でもどうぞ遅れないでくださいね。

 タイトルを見ただけで、のっけから「えええ〜〜ッ」「うそぉぉぉ」「信じられない」といった妻達の反発が聞こえそうです。お気持ちは、重々わかります。しかしながら、定年間近の夫達の胸の奥には、料理を習ってみたいという気持ちも実はあるのです
 定年目前の男性(58〜60歳)約300人に聞いたアンケートをご覧ください「定年後に始めたい(始めた)習い事」のトップが、なんと料理教室!(複数回答、HOPEレポート/博報堂エルダービジネス推進室) 

 いやもう、これを使わない手はないじゃありませんか。
 そういう時の男性をくすぐる甘い言葉は「定年後はあなたの料理、食べてみたいわ」。
 あまりに直球で恥ずかしいようでしたら、「自分で作れば、好きなものが食べられるわよ」と、ダンナさまの好みをくすぐって。
「私がいない日のお昼ごはんも安心よ」と必要性をつっつくとか。
「私が病気やケガをした時のために」等々。ともかく夫を料理教室へレッツゴーです。

 ただ、男性の料理で困るのが、やたらお金をかけて食材を買ってきたり、調理道具などが流しにいっぱいになってしまうこと。思わず、「こんなことなら余計に手間だわ。もう作らなくていい」とか言ってしまいそうですけれど。そこは抑えて抑えて。
 誰でも上達までには時間がかかるもの。「予算は○千円以内にしてね」「合間にちゃっちゃと道具を洗ってしまえば、スッキリして作業も効率がいいのよ」等のアドバイスをしてさしあげましょう。意外にも,残り物でちゃんと夕食を作ってくれるダンナさまも、結構世間にいるんですから。

 あなたがダンナさまにやってもらいたい家事は、何でしょうか?
 日経新聞のNIKKEIプラス1「何でもランキング」で「夫に聞く やってもいい家事」には、次のような結果が出ていました。
1.窓ガラス掃除(妻の要望ランク3位)
2.風呂掃除(妻の要望ランク1位)
3.食材料の買い出し(妻の要望ランク20位)
4.布団干し(妻の要望ランク8位)
5.洗濯物の取り込み(妻の要望ランク25位)
6.ごみ出し(妻の要望ランク7位)
7.照明器具の掃除(妻の要望ランク4位)
8.掃除機かけ(妻の要望ランク13位)
9.玄関掃除(妻の要望ランク35位)
10.換気扇の掃除(妻の要望ランク2位)

 これを妻の要望ランク順に並べ替えると、1.風呂掃除、2.換気扇の掃除、3.窓ガラス掃除、4.照明器具の掃除。
「夫がやってもいい家事」も「妻の要望」も、どちらも上位に掃除が来ているのが目につきます。妻からの要望では、上位1〜4位を掃除が独占しており、ダンナさまへの期待が見え隠れしていますね。「夫がやってもいい家事」では、1、2、7、8、9、10位が掃除で、抵抗感が少ない様子。ということは、お互いのニーズが一致しています。いいじゃないですか〜。
 女性にとって、体力が落ちてくる50代以降は「掃除がつらくなる」という声が多いようです。一方、体格が大きく、体力もある男性は、掃除にうってつけ。電球の交換も、背が低い女性がイスに上ってやるより、背の高い男性であれば直接手が届いたりと、便利この上ありません。
 ぜひダンナさまに掃除をやってもらいましょう。とはいえ、最初は口に出しづらいものですね。「掃除はあなたが担当して」といったきつい口調ではなく、できればダンナさまを頼りにするトーンが良いかと思います。
「腰が悪くなって、高いところが掃除しにくくて」
「庭の草取りだけでもしてくれると助かるんだけど」
 特に「〜だけでも」と、負担感を小さく伝えるのがコツです。そして「助かる」は、男性の頼られたい心を刺激するので効果的なのです。
 特に、天井など高い場所は男性に向いています。ということは、ここはダンナさまの出番なのです!

 また、長年仕事をしてきた男性は、結果がハッキリ見えるものが好きです。なので、意外にも換気扇やたまった窓ガラスの汚れなど、オオーッと違いがハッキリわかるものに快感を覚えるんですね。毎日の家事に追われている妻にとって、こういう大掃除はやっかいでなかなか手が出ません。それなら、こういった不定期の大掃除をダンナさまにお任せすればいいわけです。
 ここで使う手が、ガイド役としてせっけんや重曹の本を買って置いておくこと。できれば写真が多く載っていて、やり方や効果がわかりやすいものがいいでしょう。さりげなく読めるようにして、自分から興味を感じてもらえれば大成功。実際、粉せっけんを使うと、換気扇やレンジまわりのベタベタ汚れもおもしろいほど落ちます。しかも環境への負荷も少なく安心です。この気持ちいいほどの汚れ落ちを体験すると、男性はクセになるかも〜。
 お掃除が終わったら、「まぁ! 見違えたわ」「こんなにキレイになったの!」「ピカピカね」「さすがだわ」「ありがとう〜」等の言葉で、ともかくホメちぎってください。「さすが」も、男性が大好きな言葉ですよ。
 ダンナさまは結果が目に見えて満足な上に、妻から持ち上げられ、かなりいい気分に。すると、次回からもやってくれる確率は大です。自然に「汚れたときの大掃除は、ダンナさまの出番」が定着しますよ。

 
 

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